ベテラン左官工事業者が考える土壁工事の重要なポイント5選

土壁画像

現代では土壁の施工経験を持つ左官職人は減少しており、施工できる職人も限られています。土壁工事を失敗しないためには、いくつかの重要なポイントがあります。今回は、土壁工事を成功させるための5つのポイントをご紹介します

土壁工事とは

土は最も身近で最も歴史のある左官材料です。日本では縄文時代の竪穴式住居が土を使った左官工事の始まりと考えられています。古代から数多くの左官工事で使われ、日本独自の発展を遂げてきました。現代でも重要文化財や茶室などでその美しい壁を観ることができ、日本の文化や「侘び寂び」を感じることができます。

土壁工事の重要なポイント5選

土壁は調湿性が高く、日本の気候や風土に適した壁材であり、日本を代表する伝統的な建材です。その特有の美しさと安心感は、日本人の暮らしに深く根付いています。

しかし、施工業者によって仕上がりに大きな違いが出ることも。場合によってはすぐに劣化してしまう可能性もあります。「価格が安いから」「どこの業者でも同じだろう」と安易に依頼してしまうと、後悔してしまうことも少なくありません。

そこで、ベテラン左官工事業者が考える土壁工事を成功させるための5つの重要なポイントをご紹介します。

1. 土の個性を理解している業者を選ぶ

土壁の仕上がりは、使用する土の種類によって大きく異なります。土には、色、粘り、強度、水への耐性など、さまざまな個性があります。これらを見極め、最適な土を選定し、適切な工程で施工できる業者を選ぶことが重要です。

例えば、強度の高い土は下地に、色の美しい土は仕上げに使うなど、用途に応じた適切な選定が求められます。経験の浅い業者では、誤った土の選定により施工後すぐに剥離するリスクもあります。豊富な経験を持つ業者を選びましょう。

2.目的に合った材料を作れる業者を選ぶ

土壁は、土・藁スサ・砂と水を混ぜて材料を作ります。適切な配合によって、施工箇所の用途に合った壁が仕上がります。たとえば、竹小舞に塗る荒壁は、藁の発酵を進めることで、強度が増し、耐久性に優れた壁になります。

既製品の土壁材料が少ない現代において、職人の経験や知識に基づいた適切な材料の配合が非常に重要です。自社で土壁材料を配合できる業者を選びましょう。

3. 十分な工期を確保する

土壁の硬化は、土の水分がゆっくり蒸発し、粘土粒子が結合することで進行します。そのため、急いで次の工程を進めてしまうと、クラックの発生や強度不足の原因になります。特に寒冷地では、乾燥不十分による凍結のリスクもあるため、適切な乾燥時間と時期を確保することが重要です。

短期間での工事を求める業者には注意が必要です。しっかりとした乾燥スケジュールを提案してくれる業者を選びましょう。

4. 土壁の長所と短所を理解している業者を選ぶ

土壁は、自然素材であり、調湿性や耐火性に優れていますが、適切に施工されなければその特性を発揮することができません。特に、柔らかい素材であるため、適切な保護やメンテナンスが必要になります。

土壁のメリット:

 • 自然素材で健康に優しい

 • 調湿性が高く快適な室内環境を維持

 • 耐火性があり防火構造としても優秀

 • 施工後のメンテナンスが少なく長持ち

土壁のデメリット:

 • 施工に時間がかかる

 • 職人の技術力が問われる

 • クラックが発生しやすい

 • 衝撃に弱く傷がつきやすい

これらの特性を理解し、適切なアドバイスをしてくれる業者を選ぶことが大切です。

5. 適切な道具を使用している業者を選ぶ

伝統的な土壁工事には、用途に応じた道具の使い分けが欠かせません。特に、仕上げに使用する鏝(こて)だけではなく、下地など土壁施工に使う鏝全てで数十種類に及びます。適切に使い分けることで、美しく耐久性の高い仕上がりを実現できます。

また、作業はどのような道具を使ってするのか確認し、鏝の使い分けなどを説明できる工事業者に依頼することで、確実な施工を期待できます。熟練した職人ほど、道具の手入れを欠かさず、最適な道具を選び抜いています。

まとめ

日本の土壁は、独自の進化を遂げた世界に誇れる建築技術です。その質感や美しさ、機能性は他の建材では得られない魅力があります。

しかし、現代では施工できる職人が少なく、業者選びが非常に重要になっています。今回ご紹介した5つのポイントを参考に、確かな技術と経験を持つ業者を選び、土壁の魅力を存分に楽しんでください。

合同会社ヒラシマでは、長年の経験と実績を活かし、最高品質の土壁工事を提供しております。土壁の施工をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。