北杜市 木摺下地の新築住宅工事事例

◯木摺下地の家:土仕上げ・色漆喰パラリ仕上げ

現代は余り下地として使われなくなった木摺下地の住宅を施工させて頂きました。
木摺下地は明治時代に西洋の建築を日本人が真似て建てられた擬洋風建築に多く使われていました。現代はプラスターボードが下地として使われることが多く、余り見掛けることが無くなった下地です。木摺下地を使う事の利点としては壁を厚くする事が出来るので、調湿・防音・蓄熱などの性能が薄塗の現代の壁よりも高くなります。
そして最も大きな利点としては環境への負荷が少ない事です。プラスターボードは将来に家を解体などする場合に処理費用が高額になり、また処理するための環境への負荷も大きいです。
木摺下地で施工した場合は基本的には自然素材を使い施工するので特別な処理をしなくても自然に返りますし、またもう一度材料として使う事も可能です。

今回の仕上げは土を塗り水が引かない内に仕上げる「土撫で切り仕上げ」と京都御所などで塗られている漆喰に色を付けた「漆喰パラリ仕上げ」をしました。どちらも接着剤などの化学物質を使わない体に優しい仕上げです。
  • 土撫で切り仕上げです。
    土は日本の風土に最も適した壁材であり、高度経済成長の建設ラッシュまで一般的に使われていた材料でした。
    土と藁と砂と水を混ぜて塗られる土壁は地域毎に色や強度など特性が違い、使いこなすには技術と経験が必要です。土・藁・砂の大きさを変える事などで下地から仕上げまで使う事が出来、その風合いは「THE日本の壁」侘び寂びを感じる壁です。
    将来的に壁を壊す事になったとしても、水と混ぜる事でまた新しい壁の材料として使う事も出来るのでリサイクル出来る環境に優しい壁でもあります。
  • 漆喰パラリ仕上げは京都御所に塗られている漆喰壁です。
    京都御所で大きな行事が執り行われる時に短期間で大面積を塗替えするために使われていた漆喰です。
  • 漆喰パラリ仕上げは通常の漆喰と違い何度も鏝で押さえて平にしたりせず、一度で塗って仕上げます。
    使う材料もあえて篩を通した細かい消石灰を使わず荒い粒の入った物を使い壁の表情とします。
  • 漆喰パラリ仕上げの漆喰はそのままでは白色で京都御所などのように神聖な儀式を執り行う神社・仏閣などの壁は通常白い漆喰を塗る事が殆どです。
    今回は住宅の壁なので自由な発想から着色した漆喰を使い仕上げました。
  • 木摺下地に漆喰を塗って下地を作っています。
    木摺下地は明治時代からの西洋の建築を真似た擬洋風建築で多く使われ広まりました。ラスボードなどの石膏ボードがでるまで壁の下地として一般的に使われて来ました。ヨーロッパやアメリカなどの古い建造物の壁下地も木摺下地です。
    木摺下地にするメリットは無垢の木の下地に土や漆喰で塗って行くので自然素材100パーセントなこと。ある程度の厚さを塗ることになるので調湿・蓄熱・防音などの性能が高く快適な空間を作る事が出来るなどがあります。
  • 将来もし壁を壊す事になったとしてもプラスターボードなどは処理費用が多くかかりますが、木摺下地の壁は自然に還る材料で作られていますし、また材料として新しい壁に使う事もできます。
    デメリットは何度も塗り重ねるので工期が掛かることで、工期が掛かるためコストがプラスターボードで施工するよりも掛かってしまいます。
    しかしコストの問題も将来のプラスターボード処理費用や木摺下地の壁の性能の高さ、環境への負担の少なさなどを考えると、もっと見直され使われる事が増えても良い工法だと思っています。