岐阜県羽島市の蔵 修繕工事事例

長い年月の間に痛んでしまった蔵の修繕工事をさせて頂きました。
上塗の漆喰と中塗の土が禿げ落ち下地の木が露出した状態まで壊れてしまい、扉の開け閉めも出来ない状態でした。他の左官さんにも見て貰ったそうですが、直すのは無理と断られたそうです。しかしお施主さんの先代から受け継いだ蔵を直し、次の世代に引き継ぎたいとの強い思いから弊社を探して依頼して頂きました。

多くの時間と工程を経て完成しました。扉の開閉も出来るようになりました。
蔵は左官技術の集大成であり、その家のシンボルであり大切な資産だと思います。是非大事にして頂きたいと思います。大きく壊れる前に直すのが良いのですが、直せない蔵はありません。後世に大切な資産を引き継ぐためも、お困りの際は相談していただけると嬉しいです。
  • 上塗の漆喰と中塗の土が禿げ落ち下地の木が露出した状態まで壊れてしまい、扉の開け閉めも出来ない状態でした。
  • まずは痛んで取れかけている漆喰や土壁を剥がしていきます。
    この時に元の形や寸法などを記録し復元する時の資料とします。
  • 完全に土が無くなって木の下地などが出て来てしまっている所に巻木舞などを取り付け土が塗れる下地を作っていきます。
    雨が直接掛かるなど土では風化しやすい場所は漆喰などを使い強度のある下地にしていきます。
  • 一度に厚く塗る事は出来ないので塗っては乾かしてを繰り返し少しずつ元の形にしていきます。元の形に近づいてきたら定規などを使い厚さや長さなどを正確に計り下地を作ります。
  • 扉は開け閉めを繰り返し何度も確認しながら形を作っていきます。
    塗り過ぎれば扉同士がぶつかって閉まらず。控えすぎると隙間が空きすぎて扉として役に立ちません。何度も寸法を確認し中塗が完成したらよく乾かしてから仕上の漆喰を塗っていきます。

  • 海草を煮て採った炊き糊と消石灰と麻スサを混ぜて漆喰を作ります。
    配合は左官さん毎に違います。弊社も長年度経験から生まれたオリジナル配合の漆喰を使っています。炊き糊を使って作る漆喰は他の漆喰と区別して本漆喰などと呼ばれております。本漆喰は他の漆喰よりも雨などに強く蔵で使うのに最も適した漆喰だと思います。

    少しずつ漆喰を塗り進め、厚さに気をつけながら塗らないと扉を閉めた時にぶつかり閉じなくなってしまいます。
    紙の厚さ1・2枚の違いを感じ取って仕上げて行きます。黒く塗ってあるのは扉の正面、鏡と言われる部分で黒漆喰磨きで仕上げます。
    普通は白い漆喰に墨で着色して塗ります。斑無く綺麗に仕上げるのが難しい最高難易度の左官の技術です。専用の鏝を使い最後は手で擦って仕上げます。
    最後は顔が写る程ピカピカ仕上げるで鏡と言われます。